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sylphid

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Mañana será otro día

2010年 04月 09日 ( 1 )

「ラテン音楽 名曲 名演 名唱 ベスト100」
第8章 
ラテンアメリカの真実がみえる10曲-チリ-
③-Arriba quemando el sol-

-------------------------引用------------------------
太陽は頭上に燃える-鉱山労働者の非人間的生活をアピールする抗議の歌

 チリが生んだ最高のフォルクロリスタであり、ヌエバ・カンシオーンの母とも讃えられるピオレータ・パラについては「人生よありがとう」の項にくわしく書いたので、ここではすんなりとこの歌について記そう。
 彼女は兄の勧めでチリ全土を踏破して、地方に伝わる民謡を体得することを心がけた。だが、訪れるさきざきで、直視しがたいような悲惨な現実にあえいでいる人びとに出会うと、伝統的な民謡のスタイルを借りて苦しむ民のすがたを唄って抗議した。
 この曲は、北部の民謡トローテのスタイルで、チリ北部の鉱山地帯で鉱石採掘のために身を粉にして働く人たちの非人間的な生活をありのままに歌にしたものだ。虚構がかんじられないだけに、悲惨さがかえって強く迫ってくる。
 パンパをさして出かけたとき
 わたしの心ははずんでいた
 まるでチリウエ鳥のように
 だが それはあそこで死んだ
 まず羽根をなくしてしまい
 やがて声まで出なくなった
 そして太陽は頭上に燃える!

 その住まいに暮らしている
 鉱夫たちを見たとき
 独りごとが出た
 「これじゃ自分の殻のなかの
  カタツムリのほうがましだわ
  あれなら法律のかげに暮らす  
  しゃれた盗っ人に似てるもの」
 そして太陽は頭上に燃える!
 ひたいとひたいを寄せ合った
 みすぼらしい小屋の列
 たったひとつの水場の前に
 めいめいが桶をたずさえ
 一様に悲しい顔をして
 並んだ女たちの列
 そして太陽は頭上に燃える!
 死んだ村をとおって
 私のこころはくもる
 たとえそこに人びとが住んでいても
 死はもっと強いのだ
 彼らは正義を葬った
 そして太陽は頭上に燃える!
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 わたしはサンチアゴに戻った
 貧しい者が「ノー」というとき
 報告をどのようにいろどるべきか
 とうとう分からずじまいのままで・・・・・・・・・・・・
 地上は暗い夜
 金、硝石、そして石炭
 そして太陽は頭上に燃える!   (濱田滋郎訳)

チリの北部というと、北は南緯18度前後のペルーとの国境から30度のコキンボあたりまでを指す。しかしいまや国の経済を支える硝石や銅を産出する地帯は、北部のペルーやボリビアとの国境近くに位置している。開発や採掘権をめぐって三ヶ国の争いだってあったところだ。世界的に有名なチュキカマタの銅山にしてもそのあたりにある。標高が2700メートルの砂漠のなか、南緯は約22度だから熱帯。昼間は太陽が頭上に燃え、夜ともなるとおそろしく寒いに違いない。曲も終わりちかくでピオレータは「これはチュキのことだけど、サンタ・ファナはもっとひどい」と唄いこの歌の舞台はチュキカマタの銅山であることを明示している。
 鉱山の経営者や為政者たちは、おそらく苦虫を噛みつぶしたような顔で、この唄を聴いたことだろう。だが、こうした現実を見たからには、彼女は唄で告発しないではいられなかったのだ。
------------------------引用終わり------------------------
ピオレータ・パラは「人生よありがとう」の項でも紹介しましたね。
彼女がチリ各地をまわっていた頃かかれた唄でしょうから、1950年代の頃のことでしょう。いまでは待遇も変わってはいるでしょうが、貧しい労働者と富裕層の格差は歴然として存在するのでしょう。。。。。


ピオレータ・パラの自作自演で
Violeta Parra Arriba quemando el sol

by sylphid-mave | 2010-04-09 05:25 | 音居間Latin | Comments(2)