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Mañana será otro día

《アナイー》「ラテン音楽名曲名演名唱 ベスト100」

「ラテン音楽 名曲 名演 名唱 ベスト100」
第8章 
ラテンアメリカの真実がみえる10曲-アルゼンチン-
②-Anahí-

「アナイー」、火あぶりになったグアラニー族の女王の伝説を歌ったもの。
-----------------------------引用-------------------------------
 グアラニー族の女王が火あぶりの刑に処せられるも、一輪の赤い花に生まれ変わったという伝説をもとに、アルゼンチンのオスバルド・ソーサ・コルデーロが1943年に作った。悲しくも美しい、心にしみるような歌である。グアラニー族は、昔はともかく、いまではパラグアイとアルゼンチン、ブラジルの国境地帯に2万人強の人たちが住むだけの先住民である。もっともパラグアイではグアラニー族もスペイン語と共に公用語となっている。ちなみにこの曲名はグアラニー語で、スペイン語ではセイボ(ceibo)という。マメ科ディゴ属の低木で、きれいな赤い花を咲かせるが、その花はなぜかパラグアイではなく、アルゼンチンとウルグアイの国花に指定されている。
 この歌の背景にあるには、パラグアイ戦争である。パラグアイは国境問題をきっかけに、1864年11月からアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイを相手に闘い、婦女子まで動員する総力戦を展開したものの、みずから軍を率いて闘ったフランシスコ・ソラノ・ロペス(1826~70)大統領が70年3月1日にコラの丘の死闘で倒れたことで降伏した。この戦争で広大な領土を失い、65年には50万人あまりだった人口が、戦後には22万人にまで減り、そのうち成人男性は3万人にも満たなかったというから、まさに壊滅状態だった。征服者スペイン人との長い闘いの末に独立をかちとっても、このような紛争が各国間であとを絶たなかった。このためその後の発展が著しく遅れ、国民が貧困にあえぐといったこともラテンアメリカに顕著な歴史的事実なのだ。
 「アナイー、おまえのために/嘆きのアルパは涙をつまびく/アナイー、それはおまえの/グアラニーを治める女の/計り知れない勇敢さを思うがゆえ/アグァイーの実のような/甘い声をもつ/強いインディア(=インディオの女性)/アナイー、おまえの血は滅びてなどいない/ルビーのような赤い花として/誇り高く/脈々と続いていくだろう・・・・・」(安野由岐子訳)
 結局、グアラニーの女王は敵につかまり、死刑を宣告され、火あぶりの刑を科せられた。炎につつまれ、そのからだが燃えつきたとき、彼女の命は赤いセイボの花に転生したという伝説である。国のために散った女王の化身である赤い花を、国花にしないのはパラグアイの尊厳だろう。一方”愛国の英雄“としてロペス大統領をいまも敬うが、これもまた尊厳なのである。
-----------------------------引用終わり-------------------------

Anahi - Los Panchos

by sylphid-mave | 2010-04-03 18:46 | 音居間Latin

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